我が子が学校に行かなくなってしまった…
一体どうすれば…
お子さんが学校に行くのが難しくなってしまったとき、親御さんの心配や不安は計り知れないほど大きなものです。
- 一生引きこもりになってしまったらどうしよう…
- 就職できなかったら…
- 自立できなかったら…
昔よりは多様性に対応してきたとはいえ、現代の日本ではまだ「普通に学校に行って」「普通に就職する」のが標準的な道。
それ以外の道を開拓しているロールモデルも少なく、不登校になってしまった場合、将来を見通しにくいのも実情です。
さて突然ですが、私は転校がきっかけで学校に行けなくなったことがあります。
親が転勤族で初めての転校ではなかったので、まさか自分が不登校になるとは想像もしていませんでした。
今まで、勉強・部活・人間関係に特に困ったこともなかったので、私自身も両親も青天の霹靂。
不登校は、こんな風に突如襲ってきます。
(後から振り返るとサインが出ていたかもしれませんが、その時はなかなか気づけなかったり)
そしてその後、大人になって私は不登校などを支援する側のお仕事に就きました。
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不登校をする側、サポートする側の両方体験して痛感したのは
『知識』の大切さ
です。
さまざまなご家庭があるのは承知ですが、基本的に親御さんから、お子さんへの愛はとんでもなく深く大きいです。
『愛が足りない』なんて言えるケースは極々稀なほど、どの親御さんも本当にお子さんのことを強く想っています。
ですが、たっぷりの愛情があるにも関わらず、悲劇が起きてしまうことが少なくありません。
それは『知識不足』によるものだと感じています。
国民的漫画「ONE PIECE」の↓このシーンを思い出してしまう切なさです。
このシーンは、トナカイのチョッパーが育ての親の病気を治すためにキノコをプレゼントしたのですが、なんとそのキノコは毒キノコだった…というシーンです。
愛しているからこそのがんばりが、知識不足一つで裏目に出てしまうことがあるのです。
一人として同じ子どもはいないので、不登校の対応に正解はありません。
でも、ちょっとした不登校に関する知識があるかないかで、対応に選択肢が増えます。
結果、その子にとっての正解な対応に近づけていくことができるんです。
この記事では、不登校サポートは愛だけじゃなく『知識』が不可欠な理由を7つ具体例を交えながらご紹介します。
不登校に関する『知識』を得ることで、どんな悲劇を回避できるのか。
お子さんの不登校にお悩みの親御さんは、ぜひ目を通してみてくださいね。
不登校サポートに『知識』が必要な7つの理由
- お子さんの心を追い詰めずに済む
- 不登校にならずに済むはずのお子さんを、不登校にしてしまうことを防ぐ
- 不登校を長期化を防ぐ
- 子どものメッセージを読み取れるようになる
- 親御さん自身の疲弊を軽減
- 治療が必要な(特に身体の)病気を見過ごさずに済む
- 制度を知らずに損することを防ぐ
お子さんの心を追い詰めずに済む
「うつ病の人にガンバレと言ってはいけない」
もはやこのフレーズは全国的におなじみになりました。
ですが、うつ病がまだまだ浸透していなかったほんの十数年前までは、回復を祈って『ガンバレ』と連呼していたものでした。
不登校のお子さんに対しても同様です。
回復を祈ってお子さんにかけている言葉が、逆にお子さんの心を追い詰めてしまうことがあります。
特に、無理矢理学校に行くよう促す言葉は心が限界のお子さんの場合、心の致命傷になりかねません。
心が壊れてしまうよりは、一旦学校に行かない選択をする方が良い場合もあるので、お子さんの様子を丁寧に観察しましょう。
不登校にならずに済むはずのお子さんを、不登校にしてしまうことを防ぐ
現状の不登校サポートでもっとも対応の見極めが難しいのはこれ!
最近は、不登校のお子さんに無理をさせずに、お子さんの心を守ろうという論調が増えてきました。
↑この論調が一人歩きをして、お尻を叩けば不登校にならずに済むお子さんが、不必要に不登校になってしまうケースも多くなっているように感じます。
私は、高校教員の時に担任をしていた男子生徒に
「やればなんだってできるんだから、学校にきなさい!」
と、失敗すれば切腹ものの声をかけたことがあります。笑
でも、その男子生徒は自分の人生を見つめ直し、コツコツと学校に来るようになりました。
この生徒は学校に行くのがつらいというよりは、自分の無力感(自己効力感の低さ)から気力が落ちていた状態でした。
「無理して学校に来なくていいよ」と慰められるより「できる子だ」って期待をかけて欲しかったわけです。
もちろんこれは一例であり、担任として信頼関係を作り、親御さんやカウンセラーの先生ともお話ししながら進めていったプランです。
この男子生徒に無理しなくていいと言い続けていたら、不必要な不登校が続いたと考えられます。
ただ、前章でのお話しした通り、無理をさせて追い詰めてしまうケースもあるので、その見極めが難しいです。
そして、その見極めのためにも『知識』が必要です。
とは言え、このケースは特に難しいので、親御さん・先生・カウンセラーなどの専門家を交えて相談しながらの対応がベスト◎
不登校を長期化を防ぐ
復学が必ずしもゴールではないですが、お子さんに合った対応をしないと無駄に不登校を長期化させてしまうことがあります。
現場の所感から言うと「学校に行けるものなら行きたい」と思っているお子さんが大多数です。
学校に行かない道を選択することも可能ですが、お子さんが「行けるなら行きたい」と思っているうちは、復学を目標にして差し支えないでしょう。
復学を目指すには、今お子さんが『なぜ』学校にいけないのか明確にする必要があります。
そして、学校にいけない理由は複数絡んでいることがほとんどです。
お子さんも、問題が1つなら自分で解決しようとしたり、忍耐で乗り切ることができるものです。
複数の問題が絡むから、解決が難しく、立ち向かう気力もそがれていくのです。
その、複数の問題を紐解くために必要なのが『知識』
「クラスに馴染めないから」と本人が言っていた場合でも、本人でさえ気づいてない問題をもう一つ以上は抱えています。
そこに大人が気付くことが、不登校を迅速に解決するコツです。
子どものメッセージを読み取れるようになる
お子さんは暗に色んなメッセージを発しています。
そして、そのメッセージに気づく天才は、親御さんです。
先生や専門家でも気づけない『おや?』と言う違和感を発見するのは、親御さんです。
ただ、その違和感が何者なのか読み取るために、またしても『知識』が必要になってきます。
例えば、お子さんが「気持ち悪い」と言った時に、どれだけの原因が思い浮かぶでしょうか?
- 胃が悪いのかな?
- ストレスかな?
- 耳が悪いのかな?
- 感覚過敏かな?
多分、胃が悪い・ストレスくらいまでなら一般知識で想像できるのではないでしょうか。
ただ、耳が悪いかもとか、感覚過敏かも…などはある程度の知識がないと思いつかないものです。
知識があると「どの専門家に相談するか」の選択肢も増えてきます。
正しい専門家に相談することで、お子さんの発しているメッセージの真の意味に気づくことができるのです。
親御さん自身の疲弊を軽減
知識をつけるのは、お子さんのためなのはもちろんですが、親御さんのためでもあります。
親御さんにとってお子さんの苦しむ姿、将来の不安は大きなストレスになります。
そして、お子さんへの対応方法がわからないと、お子さんの苦しみは長く続き、好転しない結果に親御さんも疲弊してしまうケースは少なくありません。
その点、親御さんが不登校サポートに関する知識を持つことで、お子さんを苦しみから助けることができる=親御さんのストレス軽減につながります。
また、事態が膠着していたとしても、知識があると不安になり過ぎずに待つことができます。
不登校とはちょっと別の話になりますが、発達障害のお子さんを持つ親御さん向けの『ペアレントトレーニング』も、かなり親御さんのストレスを軽減することがわかっています。
個人的に、親のトレーニングって、傲慢な感じにも聞こえて嫌だなーと思ったりもするのですが。
お子さんの対応に関する知識をつけることが、親御さんをも救うことは紛れもない事実です。
治療が必要な(特に身体の)病気を見過ごさずに済む
不登校=心の不調…という先入観に囚われていませんか?
心の不調に見えるような、身体の病気の可能性もあります。
例
- 起立性調節障害
- 甲状腺機能亢進症
- 脳脊髄液減少症
身体の病気だった場合は、傾聴やただの休養だけでよくなるわけではありません。
医師の指示に基づいて正しい治療が必要です。
心に注目しすぎて、うっかり身体の病について失念してしまうケースが少なくありません。
不登校サポートでは「心の不調と決めるのは最後の手段」とするのが基本です。
まずは身体に異常がないか調べるようにしましょう。
制度を知らずに損することを防ぐ
最後に、めっちゃ声を大にして言いたいこと!
不登校のお子さんを支える『制度』を知らないと、本当ーーーーーーに損をします。
特に『出席』について。
今は
- 学校の代わりにフリースクール等に行ったら出席扱い(小中高)
- タブレット教材で勉強を進めたら出席扱い(小中)
- 公立高校で単位が足りなくても、通信制高校に転校すれば卒業できる(高校)
など、教育も多様化してきています。
担任の先生が不登校に詳しかったりすると、制度について教えてくれることもあります。
しかし、詳しくない先生だと制度を教えてもらうこともなく、ただただ学校に行けてない日々を過ごすだけに…
制度さえ知っていれば、出席扱いになって内申が上がったのに…
制度さえ知っていれば、高校をみんなと同じタイミングで卒業できたのに…
こんなの嫌すぎませんか?
嫌どころか、お子さんの将来を左右するといっても過言じゃありません。
↑こんな悲劇を防ぐためにも私は、率先して親御さんに知識を身につけてほしいと思っています。
まとめ
本記事では、不登校サポートに『知識』が必要な7つの理由をお話ししました。
- お子さんの心を追い詰めずに済む
- 不登校にならずに済むはずのお子さんを、不登校にしてしまうことを防ぐ
- 不登校を長期化を防ぐ
- 子どものメッセージを読み取れるようになる
- 親御さん自身の疲弊を軽減
- 治療が必要な(特に身体の)病気を見過ごさずに済む
- 制度を知らずに損することを防ぐ
不登校は、親御さんの『愛』と『知識』があれば、必ず乗り越えられると信じています。
もちろん、私を始め学校の先生やカウンセラーなど、力になりたいと考えている人達だってたくさんいます。
お子さん・親御さん・学校・専門家で連携して、お子さんに最適な対応を見つけていきましょう!