▼この記事の主な内容
- フリースクールとは
- フリースクールのメリット・デメリット
- フリースクールが合うのはどんなお子さんか
子どもが学校に行けなくなって、しばらく経ちます。
フリースクールを検討しているけど、どんなメリットやデメリットがあるのかな?
不登校のお子さんの社会的な活動の場である、フリースクール。
ホームスクール(家庭学習)などの選択肢と比較するためにも、具体的にどんな長所や短所があるのか知っておきたいですよね。
本記事では、フリースクールの基本情報やメリット・デメリットを、不登校も支援する側も経験したりよせんがお話しします!
当事者&現場の両方の目線から、リアルかつ具体的に紹介します!
▼結論を一発チェック!
- フリースクール不登校向けの民間教育施設
- フリースクールは良くも悪くも「回復の場」「今後の方針が決まるまでの居場所」
- 学校以外の社会コミュニティーを求めているお子さんに合う
フリースクールとは
フリースクールは、主に不登校のお子さんの教育サポートを行う民間施設です。
文部科学省の2015年の調査では、474ヵ所のフリースクールが確認されており、基本的に入学資格や規定のカリキュラムを持ちません。
フリースクールの通所を学校の出席扱いにする制度もあり、増え続けている不登校生徒の救済の場として、国からも強く必要とされています。
フリースクールでは主に、学習の補強、得意を伸ばす活動、スクールメイトとのレクリエーションなどが行われます。
不登校に理解があるスタッフが多く、気持ちがつらい時はお話しの時間を取ることなどもでき、学校より心のケアに長けている傾向にあります。
最近は、高認サポートがあるスクール、発達障害の対応ができるスクールなど、特色を持ったスクールが増えてきています。
フリースクールのメリット13こ・デメリット7こ
メリット13こ | デメリット7こ |
---|---|
一人ひとりの個性に合わせた指導 カウンセリングを兼ねる 居場所が持てる わかり合える交友関係が作れる 学力の補強 出席扱いできる 毎日行かなくてよい 発達障害・医療機関との連携・高認などのサポートがあるスクールも 体力を落とさずに済む 社会性を養う 主体性を養う 親御さんの横のつながりが生まれ、情報収集できる 親御さんのリフレッシュ時間が確保できる | 費用が発生する 出席扱いできない場合がある 受験対応や勉強に弱い 就職活動のサポートに弱い 社会とのギャップがある 学歴にならない 場所が遠く、送り迎えが必要な場合も |
大きく分類しようかと思ったのですが、せっかくなので現場経験者として、細かく具体的にメリット・デメリットをご紹介します!
フリースクールのメリット13こ
一人ひとりの個性に合わせた指導
体調に合わせて活動量を調節したり、個性を伸ばす授業を受けることができます。
画一的な学校プログラムと違い、対応の柔軟性に富んでいるのが大きな魅力です。
カウンセリングを兼ねる
フリースクールの先生は、不登校の知識と理解がある先生がほとんどです。
そのため、日常の何気ない会話がカウンセリングの役割を果たし、お子さんの心を癒すことにつながります。
好きな芸能人の話、漫画やゲームの話、恋愛の話・・・色々な話をしたものです!
居場所が持てる
不登校のお子さんは、学校に行けなくなったことで、どこにも所属していない苦しみが生まれています。
フリースクールは、不登校への理解が深い先生や、同じような境遇のお子さんと出会うことができるため、お子さんの「居場所」になりやすいです。
「今はフリースクールに所属している」という事実で、お子さんが自信を取り戻すことあります。
わかり合える交友関係が作れる
同じ立場で近い年齢の子ども達が集まるので、理解・共感しあえる交友関係が生まれます。
お子さんは日々、孤独感や焦りなどさまざまな感情と戦っています。
お互いがつらい時に助け合った友情は、末永くいい関係になりやすいですよ。
学力の補強
フリースクールでは、学習の個別指導が行われます。
個別指導なので、学校を休んでいてわからない部分もさかのぼって教えてもらうことができます。
出席扱いできる
フリースクールの通所を、学校の出席扱いにすることができます(小中高全て)
フリースクールでのお子さんのがんばりを、学校からも評価してもらうことができるので、お子さんの自信にもつながります。(絶対ではないですが、内申として評価されることもあります)
出席扱いにするには要件が存在するので、↓こちらの記事で詳細を確認してください。
毎日行かなくてよい
フリースクールは、必要な出席日数が存在しないので、行けない日があっても大丈夫。
気力や体力が回復していない状態から、一気に毎日登校にするのは難しいもの。
指導員の先生と相談しながら、少しずつ日数を増やすなど「スモールステップ」で社会復帰を目指すことができます。
発達障害・医療機関との連携・高認などのサポートがあるスクールも
フリースクールによりますが、特徴的なサポート体制を用意しているスクールも存在します。
主に、発達支援ができるスクール、病気療養児の対応ができるスクール、高認対策を強みとしているスクールなどが挙げられます。
特殊なサポートは、どこのフリースクールでもできるわけではないので、公式ホームページや問い合わせなどで確認してから入会を決めましょう。
体力を落とさずに済む
不登校中の懸念の一つに「体力の低下」があります。
気力の回復目的で家で静養しているお子さんが多いため、不登校が長引くほど基礎体力が低下していきます。
フリースクールは体調がいい時だけ通所することも可能なので、無理をしすぎずお子さんの体力作りをすることができます。
社会性を養う
フリースクールに通うことで、先生や友人との交流が生まれます。
また仲のいい子だけでなく、関係性の浅いお子さんとも協力する場を持つことができるため、家庭では得られない「社会性」を身につけることができます。
不登校になると、家族や親しい友人としか触れ合わない生活になります。
そのため、成長途上の子どもにとっては「社会性を養う場」が不足している状態になりがち。
フリースクールでは、学校に行かずとも社会性を養うことが可能になります。
主体性を養う
フリースクールは特定のカリキュラムがなく、指導員と相談しながら授業内容を決めていくため、主体的に決定する力(自己決定スキル)が身に付きます。
自分のやりたいことに集中したり、得意教科伸ばす選択をしてもいいですし、苦手克服にチャレンジしてもOKです。
自分のことを自分で決める力は、学校のレールに乗っているとなかなか身に付きにくいもの。
自分の行動を自分で選択する経験を積み重ねることで、主体性が身に付きます。
親御さんの横のつながりが生まれ、情報収集できる
フリースクールには、似たような立場のお子さんが集まるので、自然と同じ悩みを持った親御さんとの出会いが生まれます。
そのため、不登校のお子さんの子育てに役立つ情報を得やすくなります。
SNSなどで幅広く情報を得ることはできても「現実的な情報」は身近な人脈からもたらされることが多いですよ。
・病院やお医者さん
・カウンセラー
・塾や家庭教師
・進学先
など、地域に根ざした口コミ情報を得やすくなります!
親御さんのリフレッシュ時間が確保できる
お子さんがフリースクールに通っている間、親御さんが自分の時間を持てるのも大きな魅力です。
どんなに仲の良い親子関係でも常に顔を突き合わせていたら、要らぬケンカも増えてしまいがち。
特にここ数年はコロナ禍で在宅勤務の親御さんが多くなり、家族みんなが自分の時間を持ちにくくなっています。
お子さんが外に出かけることで、親御さんも心をリフレッシュさせる時間を確保することができ、家庭の風通しも良くなりますよ。
フリースクールのデメリット7つ
費用が発生する
フリースクールは民間の運営なので、入学金や授業料を払う必要があります。
フリースクールによって価格はピンキリですが、授業料の平均は月33,000円と調査結果(平成27年文部科学省)が出ています。
【参考】
小・中学校に通っていない義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設に関する調査の結果(概要)文部科学省
出席扱いできない場合がある
運営基準を満たしているフリースクールは出席扱いの対象ですが、さまざまな事情を加味した上で最終判断は校長先生に委ねられます。
フリースクールが、どんなに充実した授業とサポートが行っていたとしても、校長先生がNOと言えば、出席扱いは認められません。
必要以上に不安がる必要はないですが、頭の片隅に「出席扱いは校長先生の判断次第である」と知識を頭に入れておいてください。
受験対応や勉強に弱い
フリースクールでは勉強も行いますが、受験を勝ち抜けるほど学業に力を入れているところは少ないです。
確かにフリースクールの中にも、学習指導に優れている先生もいらっしゃいます。
ただ、全ての教科の先生が揃っているわけではないので、受験をがんばりたい場合は物足りないケースがほとんど。
受験を目指す場合は、塾、家庭教師、高難易度をカバーするタブレット教材などを用いて、別途学力を強化しましょう。
高難易度をカバーできるタブレット教材は『スタディサプリ』
小中学生用、高校生用とあるのでチェックしておいてください。
月額2,178円〜とコスパがいいのも魅力です♪
就職活動のサポートに弱い
就職のサポートを行なっているフリースクールもありますが、就職支援は期待できないフリースクールの方が多いです。
各先生が持っている就職の知識を教えてもらう程度が精一杯で、求人票をもらったり最新の情報を得ることは難しいと思っておきましょう。
ハローワーク、求人サイトの利用、障害がある場合は就労支援の利用などを検討してください。
社会とのギャップがある
フリースクールはお子さん一人ひとりに合わせた対応をしてくれるのが魅力。
一方で、一般的な社会生活で、これだけ手厚くしてもらえることはほとんどありません。
「復学」「進学」「就職」に踏み出した時、社会の厳しさや冷たさにショックを受けてしまうお子さんも少なくありません。
社会は厳しいぞ!とプレッシャーをかける必要はないですが、フリースクールが特に温かい環境であることをお子さんも認識しておくといいでしょう。
学歴にならない
フリースクールは毎日通ったとしても「フリースクール卒業」という経歴は残りません。
したがって、履歴書の学歴に記入することもできません。
(公立小中は無条件で卒業できますが、高校はフリースクールのみで卒業することはできません)
あくまで回復の場、方向性が定まるまでの居場所という認識でいた方がいいでしょう。
場所が遠く、送り迎えが必要な場合も
首都圏であれば複数のフリースクールから選ぶことが可能ですが、地方はそうもいきません。
近所にないどころか、お住まいの市区町村にフリースクールが存在しないケースも多々あります。
その場合、最も近いフリースクールでも距離が遠く、親御さんの送り迎えが必要になります。
フリースクールが合うお子さん
- 外出の機会がほしいお子さん
- 個別の対応が必要なお子さん
- 交友関係を作りたいお子さん
- 居場所を求めているお子さん
- 自分の生き方を見つめたいお子さん
- 社会性を身につける練習をしたいお子さん
- 出席扱いを希望するお子さん
学校に行くのは難しいけれど「社会的な居場所が欲しい」「不登校のつらさをわかり合える友人が欲しい」など、学校以外の社会コミュニティーを求めているお子さんにぴったりです。
また、フリースクールの通所を出席扱いすることができるので、全く学校に行かない場合より内申アップも見込めます。
まとめ:フリースクールは、メリットもデメリットも両方ある。
本記事では、フリースクールのメリットとデメリットを、不登校経験者かつフリースクール指導員経験者の目線からお伝えしました。
メリット13こ | デメリット7こ |
---|---|
一人ひとりの個性に合わせた指導 カウンセリングを兼ねる 居場所が持てる わかり合える交友関係が作れる 学力の補強 出席扱いできる 毎日行かなくてよい 発達障害・医療機関との連携・高認などのサポートがあるスクールも 体力を落とさずに済む 社会性を養う 主体性を養う 親御さんの横のつながりが生まれ、情報収集できる 親御さんのリフレッシュ時間が確保できる | 費用が発生する 出席扱いできない場合がある 受験対応や勉強に弱い 就職活動のサポートに弱い 社会とのギャップがある 学歴にならない 場所が遠く、送り迎えが必要な場合も |
フリースクールのいいところはたくさんあります!
ただ、現状「学校の代わり」と言えるほど機能しているスクールは少ないです。
学校に行くのが難しいけれど、社会コミュニティを持ちたいお子さんが「回復の場」「方向性が決まるまでの居場所」として利用するのがベスト。
今は、さまざまな特色を持ったフリースクールが開設されています。
お子さんの性格や希望にあったスクールを探してみてくださいね
外出が難しいお子さんは、タブレット教材でも出席扱いできる制度があります。
出席扱いの前例があるタブレットの調査は↓こちらの記事でご確認ください。