お子さんが不登校になった時に起こりやすい「昼夜逆転」
「昼夜逆転を直せば不登校も良くなる」「朝起きる時間を一定に」などと唱える方もいますが、本当にそうでしょうか?
不登校する側と支援する側両方経験したりよせんの見解では、逆です。
不登校になった要因・長引いている要因が取り除かれた時「勝手に昼夜逆転は治る」と感じています。
この記事では、不登校を見つめ続けた私の見解から、昼夜逆転に関してよくある疑問に対してお答えします。
不登校の昼夜逆転はなぜ起こるのか
不登校になる理由・継続する理由はさまざまなので、一概には言えませんが、大体以下の流れだと感じています。
【不登校初期】
- 極度の心身疲労を睡眠で補うため、昼夜問わず眠る
- 学校で起きているつらいことから心を守る防衛反応として、昼に眠る
- 病気の症状があるため昼も眠る
- 光、騒音など昼間の刺激がつらいため、昼に眠る(感覚過敏・HSPのお子さん)
【不登校継続期】
- 社会が動いている昼間は焦燥感等でつらくて眠り、夜間にやっと心が落ち着くので起きる
不登校初期の昼夜逆転はお子さんそれぞれの理由がありますが、継続期になってくると大体皆同じ理由になってきます。
不登校が継続していることそのものが苦しみとなり、その苦しみから心を守る防衛反応として、昼間に眠っていることが多いです。
不登校を継続していくと「焦り・不安・孤独・疎外感・無力感・劣等感・自責…」と数え切れないほどの苦しみがお子さんを襲います。
↑これだけの苦しみに襲われたら、眠って一旦心の避難をするしかないです。
逆にいうと、これらの苦しみを軽減できた時に、自然とお子さんの睡眠サイクルも元に戻ってきます。
昼夜逆転を放っておいていいの?
無理に睡眠サイクルを矯正する必要はない、という意味ではYES。
完全ノータッチで好きに寝させていいかと言えばNO、です。
無理矢理、朝決まった時間に叩き起こす必要はありません。
今のお子さんの心にとっては「昼に眠ること」に意義があるのです。
学校が始まる頃に眠気がきて、自然です。
でも、昼の睡眠を欲しているのは「お子さんの心」であり「お子さんの体」ではありません。
そのため、体には「朝」を伝え続けましょう。
【具体的にやること】
- 同じ時間に目覚ましをセット
- 目覚まし前後に親御さんも声がけ
- できれば朝食を摂らせる。無理なら水を一杯飲ませる。
概日リズム障害という、昼夜逆転してしまう「体の病気」も存在します。
不登校で心因的な昼夜逆転を続けているうちに、体も昼夜逆転の病気になってしまう可能性があります。
二次障害として体の病気も発生してしまうと、解決の難易度が上がってしまうので「お子さんの体に朝を伝える」ことだけは、根気強く継続してください。
昼夜逆転しているお子さんの起こし方
- 声はかけるけど、起きるかどうかはお子さんが決める
- 時間を淡々と伝える
- 不登校継続期は、起きれない理由を尋ねるのもgood
前章でお伝えした通り「お子さんの体」に朝を伝えるために、決まった時間に起こす声がけをしてください。
その際に、大切なのは「起きるかどうかをお子さんの意志に委ねること」です。
つまり、起きなさい!というのではなく「7時だよ〜」「7時10分だよ〜」と、淡々と時間を伝えてください。
(どうして起こしてくれなかったの!?と言われたら「起こしたよ」と淡々と返答していいです。)
そして、不登校初期を越え、継続期に入ったら起きれない理由を尋ねるのがおすすめ。
自分で考えて、言葉にして人に伝えることは、大人になっても必要なスキルです。
また、言葉にすることでお子さん自身の気づきになったり、心の整理にもなりますよ。
・体調が悪くて起きれません
・学校に行かなきゃと思うと体が動きません
など、簡単なやりとりでOKです!
昼夜逆転はいつまで続くのか
昼夜逆転は「昼間に感じる苦しみから心を守っている」状態なので、気力が回復したり、心の傷が癒えれば治っていく傾向にあります。
(体の病気である、概日リズム障害にまで発展した場合は、お医者さんの指示に従ってください)
ただ、不登校のお子さんが昼間に感じる感情は「焦り・不安・孤独・疎外感・無力感・劣等感・自責…」とかなり重いです。
これ、大人でも耐え切れるかどうか…
この心の苦しみを軽減するのは、時間薬やカウンセラーなどのプロの力を総動員しても簡単ではありません。
お子さん・ご家族・学校・専門家で連携をとって、じっくり向き合う必要があります。
特に、お子さんの心の苦しみを取り除くために親御さんに一番やって欲しいことは「傾聴」です。
ただただ話を聴く、です。
八つ当たりや恨み言もあるでしょう。反論したい内容もあるでしょう。
でも内容どうこうではなく「お子さんの感情を受け止める」というイメージで耳を傾けてみてください。
親御さんの心の健康も大切なので、無理はしすぎないでほしいのですが、親の徹底傾聴は効果が大きいです。
親御さんは親御さんで、信頼できる自分のカウンセラーなどを見つけてから傾聴に取り組むと安心かもしれません。
やはりお子さんは誰より親御さんに受け止めてほしいんです。
第三者の傾聴だけだと「楽になった」程度が多いけれど、親御さんの傾聴だと「一気に好転」なんてことも!
↓ご家庭での不登校対応を学びたい方は、こちらの記事をどうぞ!
まとめ:昼夜逆転は気力の回復したり、心が癒されると割と自然に治る
本記事では、不登校時の昼夜逆転について「放っておくときの注意」「起こし方のコツ」「終わりはいつ来るのか」など、よくある疑問にお応えしました!
【要点まとめ】
- 不登校の昼夜逆転は、昼間に感じる苦しさから心を守る防衛反応
- 朝に声はかけるが、起きるかどうかはお子さんが決める
- 心因性の昼夜逆転が、体の病気である概日リズム障害にならないよう注意
- 気力が回復したり、心が癒えると自然と治っていくことが多い
- 親御さんに家庭でやってほしいことは「傾聴」
不登校初期の昼夜逆転の理由はお子さんそれぞれですが、不登校継続期になると多くのお子さんが同じ理由に集約してきます。
それは、昼間(社会が動いている時間)に感じる、苦しい気持ちから身を守るためです。
大切な心の防衛反応なので、無理矢理起こすのではなく「防衛しなくていい心の状況」を整えることを意識して対応してみてくださいね!